結晶カルサイト上にコニカルコ石を伴い産出。青緑色部分一帯が本鉱。 |
上の標本の表面を20倍顕微鏡撮影したもの。ミクサ石の結晶に良く似た絹糸光沢の美しい結晶。 |
更に40倍に拡大したもの。布賀鉱山では余り馴染みの無い二次鉱物です。 |
ザレシ石 Zalesiite
参考文献:日本鉱物科学会2008年度年会講演要旨より
岡山県備中町布賀産Bi
bearing REE free zalesiiteについて
田中崇裕*・皆川鉄雄(愛媛大・院理)・草地功(岡山大)・田邊満雄
Bi bearing
REE free zalesiite from Fuka, Okayama prefecture,Japan
Takahiro
Tanaka*, Tetsuo Minakawa (Sci., Ehime Univ.), Isao Kusachi (Okayama Univ.)and
Mitsuo Tanabe
Zalesiiteは一般式(Ca,Y)Cu6[(AsO4)2(AsO3OH)(OH)6]・3H2Oが与えられているmixite groupの砒酸塩鉱物である.ZalesiiteはSejkora(1999)によりZaesi, Rychlebske hory Mts., Czech Republicのウラン鉱床から報告され,その後各地の銅鉱床から発見されている.今回,布賀鉱山の結晶質石灰岩に貫入した銅に富む熱水脈よりBiを含むREE freeのzalesiite及び多種の鉱物を見出したので報告する.zalesiite はcalcite結晶上に長さ1o以下の針状結晶あるいは繊維状結晶集合体として産し,肉眼的には淡緑色でガラス光沢から絹糸光沢を示す.SEM-EDSによる定量分析の結果,CaO 5.3, Bi2O3 5.5, CuO 44.1, ZnO 0.4, As2O5 32.2, SiO2 0.7, Ps2O5 0.2, H2O 11.6 (diff), total 100wt%で,O=21としたとき(Ca0.96Bi0.24)Σ1.20(Cu5.64Zn0.05)Σ5.69(AsO4)2(As0.85Si0.12P0.03O3OH)(OH)6・3.05H2Oという実験式が得られた.X線粉末回折値dÅ(I)(hkl)は,11.786(100)(100), 4.461(24)(111), 3.405(18)(220), 3.272(17)(130), 2.951(28)(221), 2.573(19)(140), 2.462(31)(212), 2.117(11)(150)であり,これから求められた格子定数は,六方晶系でa=13.66(1), c=5.88(1)Åである.これらが産した銅に富む熱水脈は初生鉱物としてCalcite中にbornite, chalcocite, chalcopyriteが観察され,稀に5μm以下の粒としてwitticheniteを含む事が特徴的である.共存鉱物としてandradite, aragonite, cahnite, conichalcite, cuprite, stringhamiteが観察され,それらの一部はBiを含んでいる.しかし,zalesiite等の含Bi砒酸塩鉱物のBi及びAsの供給源となる様な鉱物はほとんど見られない.また,chalcociteがborniteの反応縁として生成していること,conichalciteがkahniteの上に被覆成長し,kahnite自体が分解し仮晶になっている事から,この熱水脈は複数のステージにより形成されたと考えられる.おそらく最初に銅に富む熱水が貫入し,その後BiやAsに富む熱水が再度脈に沿って通過したのであろう.