武田石 Takedaite

Ca3(BO3)2 硼酸塩鉱物 三方晶系(菱面体晶系)

論文著者 草地功・逸見千代子・小林祥一

掲載論文 Mineralogical Magazine, 59, 549-552, (1995)

オルト硼酸塩の天然で産するものは現在の所3種しか知られていない。化学組成のCaサイトがMgのものは、小藤石、Mnのものは神保石として報告されている。これら3種類の鉱物はすべて同一の結晶構造を持っているわけではなく、小藤石と神保石は斜方晶系で同構造であるが、武田石は三方晶系であり小藤石・神保石とは異なる結晶構造を持つ。武田石は、結晶質石灰岩とスカルンの境界部の硼酸塩鉱物脈中に方解石・フォロロフ石・ニフォントフ石・オルシャンスキー石・シベリア石・五水灰硼石と共に産する。武田石は白色〜灰白色半透明のガラス光沢の鉱物で、0.8mm×0.3 mmの微細な粒状結晶が集合したもので、名称は岡山大学理学部化学科出身で東京大学理学部鉱物学科(現在は千葉工業大学)の武田弘(1934- )にちなむ。