大江石Oyelite

Ca10B2Si8O29nH2O(n=9.5-12.5) フィロ珪酸塩鉱物 斜方晶系

論文著者 草地功・逸見千代子・逸見吉之助

掲載論文 岩石鉱物鉱床学会誌, 79, 267-275, (1984)

大江石はトベルモリ石族に属する鉱物であり、反射面間隔が11Å、10Å、14Åのものが知られており、このうち14Åのものはプロンビエル石、11Åのものはトベルモリー石と単斜トベルモリ石と分類されており、かつてトベルモリ石-10Åと記載されていたものがカルシウムの含水硼素珪酸塩鉱物である大江石である。大江石はゲーレン石・スパー石中を切る脈の中にほぼ平行に配列した白色半透明ガラス光沢の針状結晶の集合体(長さ3mm)として、かって道路拡張工事の折り比較的多くした。脈は大江石の他にバルトフォンテイン石・スコート石・ゾノトラ石・方解石からなり、脈中の大江石とスコート石は割れ目を満たした溶液から初生的に晶出した鉱物で、バルトフォンテイン石とゾノトラ石はスコート石の変質によって二次的に生成したものと考えられている。脈の幅は約2cmで各鉱物の脈の厚さは11.5mmである。岡山大学の草地功は大江石の発見により198368日に櫻井賞を受賞し、第23号メダルが授与されている。布賀の他には、三重県伊勢市水晶谷(蛇紋岩中のロディン岩中)、南アフリカ共和国のN'chwaning鉱山・アメリカ・カリフォルニア州Crestmoreから大江石の産出が知られている。 大江石は、備中石(1973)、布賀石(1977)に次いで3番目に発見された新鉱物で、名前は岡山大学の鉱物学者・大江二郎(1900-1968)にちなむ。