草地鉱 Kusachiite
CuBi2O4酸化鉱物 正方晶系
論文著者 逸見千代子
掲載論文 Mineralogical Magazine, 59, 545-548, (1995).
布賀で発見された10種の新鉱物の内第7番目の新鉱物が草地鉱である。草地鉱は、銅とビスマスの酸化鉱物で、ゲーレン石・スパー石と石灰岩の間の方解石の結晶の上に産し、約0.5 mmの短柱状結晶あるいは直径2 mmの球状の集合体を形成している。共生鉱物として逸見石・方蒼鉛石・ベーカー石・黒銅鉱・バルトフォンティン石・フッ素魚眼石・クスピディン・トーマス石などが知られている。草地鉱は低温での熱生成鉱物と考えられており、黒色金属光沢を呈し、透過光では不透明で、反射光では自然蒼鉛に似た灰色で濃赤色〜濃褐色の内部反射を持ち、褐灰色〜灰色の多色性を示す。塩酸に容易に溶ける。鉱物名は、発見者の岡山大学理学部地球科学科の逸見千代子とともに、布賀のスカルン鉱物の研究を長年続けてきた岡山大学教育学部地学科の草地功(1942- )にちなんで命名された。1995年は森本柘榴石・草地鉱・武田石と日本から発見された3種の新鉱物の記載論文が連続して海外の学術雑誌に掲載された年でもある。