青鉛鉱の結晶に似た、微細な青色透明柱状結晶です。
産出量が非常に少ない上、自形結晶が更に少なかった為、分析結果を出すまでに大変苦労が有りました。
ジャクスディートリッヒ石 Jacquesdietrichite

参考文献:日本鉱物科学会2010年度年会講演要旨より
岡山県高梁市布賀鉱山産jacquesdietrichite

草地 功*・宮脇律郎・横山一己・重岡昌子・松原 聴(国立科博)、
田中崇裕(九大)、田邊満雄

Jacquesdietrichite from Fuka mine,Takahashi City,Okayama Prefecture,Japan
Isao Kusachi,Ritsuro Miyawaki,Kazumi Yokoyama,Masako Shigeoka,Satoshi Matsubara*(National Museum of Nature and Science),
Takahiro Tanaka(Kyushu Univ.),Mitsuo Tanabe

Jacquesdietrichite occurs on aggregates of calcite and calcium borates in skarm from the Fuka mine,Takahashi City,Okayama Prefecture,Japan.It forms bright-blue tiny prismatic crystls or very thincrust composed of fibrous crystals less than 150μm in length.Jacquesdietrichite is biaxial negative,and the refractive indices are α1.625(2),β1.696(2),γ1.764(2),2V(calc.)85゜.The unit cellparameters of the present Jacquesdietrichite are a=9.443(5),b=5.865(4),c=8.678(5),Å,V=480.6(5)Å3 obtained from X-ray diffraction powder data using a Gandolfi camera.

【序】 岡山県高梁市(旧備中町)布賀鉱山からジャクスディートリッヒ石を確認したので報告する。ジャクスディートリッヒ石は、モロッコのTachgagalt鉱山から発見された鉱物で、斜方晶系、Cu2[BO(OH)2](OH)3の理想化学組成を持つ(Kampf&Favreau,2004)。

【産状】 本鉱物は、再結晶した方解石と含水カルシウムホウ酸塩鉱物からなる試料の小さな空隙に、鮮青色の微細な四角柱状結晶(長さ150μm以下)あるいは繊維状結晶が集合して非常に薄い皮殻状集合をなす。

【光学的データ】 二軸性負、屈折率はα1.625(2),β1.696(2),γ1.764(2),2V(calc.)85である。

【結晶学的データ】ガンドルフィーカメラ法による]線粉末回折値から格子定数を求めると、a=9.443(5),b=5.865(4),c=8.678(5),Å,V=480.6(5)Å3で、主な]線粉末回折値は、4.74(100)(200), 3.95(86)(102), 3.20(33)(202), 2.77(27)(103), 2.49(37)(220), 1.922(30)(322), 1.713(31)(124)である。

【化学組成】原記載のジャクスディートリツヒ石は、主成分であるB203とH20が直接分析されていない。布賀鉱山産のものをWDSで化学分析した結果、B203について良い結果が得られた。水を除く代表的な分析値は、CuO66.19,B20314.64,計80.83wt.%であった(Cu:B=2:1.01)。